消化器内科の紹介
消化器内科という名称になっていますが、基本は、消化管疾患の診断と治療を行う診療科です。消化器には、食道~胃~小腸~大腸の消化管の他に、肝臓・胆嚢・胆管・膵臓といった臓器も含まれますが、私は、できるだけ消化管に特化してやっていきたいと思っています。消化管疾患は、腫瘍性疾患と、炎症性疾患に、大きく分類することができます。腫瘍には、癌・悪性リンパ腫の悪性腫瘍や、悪性~良性のいろいろな段階を有する消化管間葉系腫瘍(GIMT)およびその他良性腫瘍がいろいろあります。炎症性疾患には、慢性に経過するものと、急性胃腸炎に代表される急性経過のものがあります。慢性経過のものは、食道では逆流性食道炎、胃・十二指腸ではピロリ感染関連の潰瘍や胃・十二指腸炎、小腸・大腸にはクローン病・潰瘍性大腸炎などの慢性炎症性腸疾患や腸結核や大腸アメーバなどの感染症などがあります。腫瘍性疾患と慢性経過の疾患のほとんどは、内視鏡検査や造影検査などの画像検査で診断されます。
医師になって以来、一貫して、主に消化管診断を行ってきました。消化管造影が多かったですが、内視鏡診断もやってきました。その経験を十分生かして、患者さんにとっても、できるだけ苦痛の少ない検査技術を提供し、診断だけでなく、治療にも、微力ながら、全力を尽くして、消化管診療にあたる消化器内科をめざします。
今まで、消化管関連の話題の中で一番の衝撃は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の大半が、ヘリコバクター・ピロリという細菌によって引き起こされるということでした。なかなか信じることができませんでしたが、1週間の除菌療法だけで胃・十二指腸潰瘍を治癒させることができることを目の当たりにして、得心してしまいました。さらに、胃炎から胃癌まで進行する過程でも、ピロリ菌は大きな役割を担っています。日本人の若い世代のピロリ感染率は上の世代と比べると高くなく、将来的には自然に、胃癌の発生が減少するはずですが、一層の減少をめざし、若い世代のピロリ除菌を積極的に進めていきたいと思っています。
梶原 哲郎(消化器内科部長)
- 九州大学医学部 卒業
- 九州大学医学部放射線科
- 国立小倉病院
- 佐賀県立病院好生館
- 国立福岡中央病院
- 国立別府病院